今回ご紹介する株式会社ヒキフネは東京都葛飾区の機械金属関連工場集積地にある創業70年にもなる老舗のめっき加工の専業会社。現在は光ファイバーのメタライズでは国内シェアの8割を製造する技術力で、ものづくり日本大賞や勇気ある経営大賞など様々な賞を受賞する国内屈指のメーカーです。
今回はこの不景気の中でも順調に業績を伸ばしているという株式会社ヒキフネの技術力の土台となる開発力と人材育成についてご紹介します。

 

技術開発に至るまで

株式会社ヒキフネは創業当初は装飾めっきを主に行っている会社でした。海外に輸出する製品を製造し、大阪万博では金杯を内需向けに製造していたこともあります。この装飾めっき技術においては現在でも某有名ブランドの金属部品の加工を行うなど高品質の商品を製造しています。

ただ、それだけではないのがこの会社の特徴。昭和47年に現住所に移転したことをきっかけとして当時の社長(現会長)がそれまでの「下請けであり発注メーカーに対する依存体質」の脱却を目指し始めました。その後昭和53年に技術部を立ち上げ、めっき技術の開発に着手し始めました。


創業初期から製造している
装飾めっき製品

 

時代の先を読み優れた技術を開発

技術部を立ち上げ、最初に確立した技術がハイプレート。一見めっき加工前の金属に凹凸があり、均一な厚さのめっき加工を施しているように見える製品ですが、実はめっきで厚さ(凹凸感)をつけています。このハイプレートによって元の金属の加工時間・コスト・工数の減少とデザイン変更におけるハードルを下げることが出来るようになりました。

その後も電鋳製造技術を確立するなど、デザインにトレンドがあり3年で入れ替わる装飾めっきの世界で常にニーズを満たす製品を製造していっています。
技術部立ち上げ当時はシーズが強く、売り込みが必要だったヒキフネの技術は現在では各種メーカーからデザインの加工要望が来るほどの地位を確立しています。

近年は装飾めっきだけではなく機能性めっきや精密めっきの製造技術開発にも力を入れ、様々な賞を受賞することになる光ファイバーのめっき加工技術(光ファイバメタライズ技術)の開発に至ります。
この技術、開発のきっかけは約10年前、当時からの顧客でもあったあるメーカーからの要望からでし
た。当時はガラスファイバーへ直接はがれにくいめっき加工を行うことが不可能でした。その影響で複雑な形状や微細なものには不向きであり、コストが高く、しかも後に絶対必要とされるであろう通信容量の拡大の大きな障害となっていました。

絶えず新しい技術を開発し、取り入れていたヒキフネでも新しい光ファイバメタライズ技術の開発には2年もの時間を費やし、立ち上げ当初はITバブルの影響で量産が行われないといった苦難もありましたがここ3〜4年は需要も伸び、主要製品として大量に生産されています。今では国内の同業のめっき業者が約1800社ある中、この技術を製品に反映できるのはわずか2〜3社という状況の下、高品質な光ファイバメタライズを世の中に送り出しています。


メタライズテープファイバの種類のなかで先端部分めっき(左)と販売形態でもあるファイバアレイ複合品(右)

 

決め手は人材、確立された育成システム

国内で2〜3社しか確立していない光ファイバメタライズの加工、その理由は技術を持った限られた職人にしかこの加工を行うことができないから。「現代の名工」として表彰された石川進造会長をはじめ高度熟練機能者5名、1級技能士5
名、女性3名を含む2級技能士22名を要する職人技術者集団となった秘訣に社風や確立された人材育成制度があります。

社風は「情報はオープン。全てのことを全社で共有する」。情報の公開、と言うと最近ではどの会社でも行っている印象がありますがヒキフネでは具体的な売上げ、利益まで全社で共有し、売り上げが下がった時は原価を下げる努力の必要性を社員全員で感じることが出来ています。その結果エコの取り組みを積極的に行い、社内で水節約チームや電気節約チームなど経費削減のためのチームが作られ、チーム毎にミーティングを行うなど自発的に取り組みが行われ、実際の製造コストの削減を実現しています。

また、人事制度の見直しを行い、職能資格制度だったかつての評価基準から部署・個人2つの指標で評価するようになりました。個人の指標では年2〜3回の面接を行い、自分の業務を振り返り、今後の目標を決定しています。そうすることで個人の目標を意識させ、日々の業務に対してのモチベーションと達成感を得ることが出来るようになりました。

先に挙げた目標設定と共に技術部の社員は視野を広く持つために学会などに積極的に参加しています。最新の研究や技術に触れることでもモチベーションを高めていっています。
会社の中で自分の役割・影響を知り、主体性を持つことが更なる発展に繋がっているようです。


国家資格でもある「めっき技能者認定」で認定された社員のプレート

 


昨年30回目を迎えた恒例のヒキフネ
祭 り。社員の手作りとは思えない
お祭りです。

 

最後に―

株式会社ヒキフネの今後も目標は、『ヒキフネ製品のブランド化』だそうです。
製品の品質、種類、行っているサービスなど消費者目線での付加価値を作ると共に従業員のモチベーションにもなることを理由として挙げて頂きました。

身の回りのめっき製品に「ヒキフネ」の名前を見つける日もそう遠くはないのかもしれません。

 

お問合わせ先

株式会社 ヒキフネ 
TEL: 03-3696-1981    
   http://www.hikifune.com/

 ◆光ファイバメタライズ技術については
            http://metal-plating.com/

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