『顕現性』を描く―独自の世界を生み・表現する黒須信雄

前回から引き続き黒須信雄さんのご紹介です。

前回、何点かの作品をご紹介しましたが何を想像されたでしょうか。

黒須さんの作品は独特の世界を表現する手段として描かれています。
一つ一つの作品が意味を持つ、と言うよりもある世界を構成する要素の一つ一つを描いている、といった方が適しているようです。黒須さん自身、ダンテの神曲(完成まで14年を要したと推定されています)のように長い時間をかけて全てを表現していきたいと思っているそうです。

黒須さんの描いているものは『ものの本質、そのものが出来る前からの姿・イメージ』とのこと。
私たちが触れることのできるものだけでなく現象や派生する事象・物事、その
『もの』自体がその『もの』になる前の姿・形を表すこと―黒須さんはこれを『顕現』と言っています。黒須さんは絵画という形でこの本質を顕現させているのだそうです。

 

フィールドワークとしてこの『顕現』を描き、これからも続いていく黒須さんの世界を一部ですがご紹介します。

 

ハレルヤ(イト高キニ於テ我ニ栄光アレ) 1992

黒須さんの制作初期の作品。
実世界にできた『もの』を表しています。

この『物体として完成されたもの』を「有」や「実」のものとし、
ここをスタートとして黒須さんの作品や世界観が創られていきます。

 

無題 1998

この作品が「有」の世界と「虚」の世界の境目、0(ゼロ)状態を表現したものです。

これより「虚」の世界―視覚で捉えることは出来ないけれどそこに「ある」
感覚の世界が奥に広がっていくそうです。

 

根之堅洲 No.6 2002

闇於加美 No.20 2008

「虚」の世界を描いた作品です。
「虚」の世界の中でも段々と深い部分を描いていっています。

この「虚」は、作品から視覚的に受ける刺激ではなく、
雰囲気・オーラなどのかたちで感じるものの正体とも取れます。

 

 

いかがでしょうか。
前回とは違い、描かれた背景が分かった後に作品をご覧いただくとまた違った印象を持つこともあるのではないでしょうか。

こういったものの見方も含め、何か心に留まる作品との出会いのきっかけになればと思います。

 

次回は黒須さんご紹介の最終回。
製造業としてものづくりに携わることに対する思いを伺いました。
また、今までと違った切り口で創られた作品をご紹介します。

 

展覧会『カイガのカイキ』のお知らせ

今回ご紹介している黒須さんが
現在足利市で開催中の展覧会に出展中です。
是非、実際の作品を間近でご覧になってください。

会期:2010年4月10日(土)〜6月13日(日)
場所:足利市立美術館


また、開催期間中に同会場では
シンポジウムも予定しております。

シンポジウム「絵画の原点をめぐって」
5月2日(日)14:00〜16:00

この機会に是非ご来場ください。

 

黒須さんに興味がおありの方はこちらよりお問い合わせください。
ミュージアム一覧ページ