知られざる海苔の歴史と海苔のふるさと大森

現在では、有明や千葉といった生産地が有名ですが、初めて養殖が行なわれた地は、
実は東京・大森なんです。

一時期は、海苔の生産地として栄え、全国でも有名だった大森。
しかし今、海苔の養殖は一切行なわれていません。

今回の特集では、知られざる海苔の歴史と、海苔のふるさと 大森について
ご紹介します。

海苔の歴史

「海苔」という言葉が登場したのは今から約1300年前、日本で最初の法律書とされている大宝律令に挙げられています。当時は今の四角い形ではなく、海藻として食べられていました。

海苔の養殖が始まったのは、それから1000年後の江戸時代初期のこと。徳川家に献上する魚を
育てていた池を囲う“そだ(木の棒)”にくっついていた海苔を、偶然発見したことがキッカケだと
言われています。

当時手に入りにくかった海苔は高級食材として扱われていました。しかし養殖によって、市場への流通量がこれまでの数十倍になり庶民にも親しまれる食べ物となりました。

江戸時代中期になると、簀で抄く四角い板海苔が作られました。私達が思い浮かべる、あの板海苔の登場です。その後は、さまざまな具を芯にしてごはんを巻く海苔巻きが庶民の間で大流行。屋台ずしと呼ばれる店も登場しました。江戸っ子たちは、現在のファーストフードのような感覚で海苔巻きを食べていたようです。

しかし、実は海苔の養殖が活発に行われていた当時、海苔の生態は解明されていませんでした。養殖業者の人々の勘や経験を頼りに種付け作業をし、海苔の養殖が行なわれていたのです。

そんな時、今から60年前の昭和24年にイギリスのドリュー女史が海苔の糸状体を発見。海苔のライフサイクルが解明され、人工採苗の実用化に向け、大きな一歩を踏み出すこととなりました。これを機に天然タネ場が遠く、養殖ができなかった地域でも、海苔が作ることが可能になりました。
戦後、一度はゼロに戻った海苔の養殖ですが現在は安定した量が生産され私達の食卓に届けられています。

 

海苔づくりの一年

海苔を養殖する過程をご紹介します。

海苔の養殖は夏に始まり、春に終わります。
今回取材を行った大森では最盛期の秋から冬にかけては日中取ってきた海苔を夜中に切って海苔付けし、朝から乾す、ということを毎日繰り返していたそうです。

海苔を育てるヒビ
 

 

網で海苔を収穫する様子

 

海苔ふるさと、大森

各地で海苔の養殖が行なわれるようになり、身近な食べ物となっている海苔。
その養殖をはじめた地が、東京の大森でした。

多摩川の河口にあり、浅瀬が続く地形であったことから、良い海苔が出来る地理的条件がそろっていたためと言われています。

つくられた海苔は、「浅草海苔」と呼ばれ、大森は日本有数の一大生産地でした。
現在よく見る四角い形をした海苔は養殖されるようになってあらわれた「すき製法」によるもの。その製法の発祥も海苔の養殖事業もすべて、大森からスタートしているそうです。

そんな大森の海苔養殖事業も、昭和37年 東京湾の埋め立て開発を機に、その歴史に幕を閉じることに。しかし今もなお多くの海苔問屋が、培った経験・知識をもとに営業を続けています。

その経験と知識は、「大森の海苔業者が認めたものは美味しい」という通説があるほど。海苔の生産業者は大森の業者に買い取られることを誇りに思うとさえ言われています。

 

大森 海苔のふるさと館の設立

海苔の養殖事業を終了した大森には、発祥の地ならではの貴重な資料が
多く残されていました。一度は大田区郷土博物館に所蔵されていましたが
その後「海苔に関する資料や器具などは、海のそばで展示してほしい」という
地域住民の方々の声に応える形で、<大森 海苔のふるさと館>が設立されました。

2008年4月の設立から2年目を迎えた当館は、来場者8万人を記録。
当時をよく知るお年寄りから、大森で海苔が養殖されていたことさえも知らなかった地元の小学生
まで、多くの方々に親しまれる人気スポットとなっています。

国指定重要有形民俗文化財をはじめ、海苔下駄の体験コーナーなど
海苔の歴史や文化を楽しみながら学べる企画展示が多くあります。

 

イベント情報

大森海苔のふるさと館では伝統の継承・地域発展のため、
季節によって多彩なイベントを毎月開催。

「海苔つけ体験」から「浜辺の生き物探検隊」「聞き書きボランティア講座」など、
普段できない経験ができるチャンスですので是非ご参加ください。

なお定員制のイベントは電話先着となっておりますので、
ご予約はお早めに(電話番号 03-5471-0333)。

戦前、海苔のまちとして栄えた大森の地。
海苔の隠された秘密だけでなく、当時の人々の思いを感じることができる
大森 海苔のふるさと館>。

ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

お問い合わせ先

大森 海苔のふるさと館
東京都大田区平和の森公園2番2号
電話:03-5471-0333
FAX:03-5471-0347
【開館時間】
午前9時から午後5時まで
(ただし、6月から8月は午前9時から午後7時まで)

【入館料】
無料

【休館日】
第三月曜日(第3月曜日、祝日の場合は翌日休館)
年末年始(12月29日から1月3日まで)

【交通】
・京急「平和島」駅(各線「品川」駅より10分)より徒歩15分
・JR「大森」駅から平和島循環バスに乗車。「平和島五丁目」停留所より徒歩3分
(バスの運行数が少ないのでご注意ください。詳細は、京急バスのサイトでご確認をお願いします)
・東京モノレール「流通センター」駅から徒歩15分

知られざる海苔の歴史と海苔のふるさと大森